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無言は多様

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京都の雑煮は「白味噌」

あけましておめでとう!
ことよろ〜♪

私は京都生まれの京都育ちである。
で、あるが故に‥生まれてから物心をつくまで、お正月・三が日に連続で「白味噌雑煮」を食べ続ける運命であった。またその苦痛は計り知れないかもしれない(笑)

小さい頃はその甘ったるい感じの白味噌風味と鰹節のハーモニーを快く感じていたかもしれないが、十年以上食い続けていると小学校高学年あたりから「ううぅっ、白飯とオカズが食いてぇっ!」と思い出す。

そして中学生になると元旦であるにも関わらず、折角用意された白味噌雑煮を完全に無視して勝手にラーメンやカレーを食し、高校生以降になると正月三が日は自宅には不在の青春時代であった筈だ。

そして後々、他府県民と所帯を持ち、「おぉ、愛媛県民は合わせ味噌の雑煮がデフォルトなんだ♪」などと白味噌から解放された十七年を過ごすのである。

がっ、しかし、最近「京都生まれの京都育ち」の娘二人が「白味噌雑煮」を食べたことがないという事実に「こりゃ、まずいかも‥」と思った。
二人とも今年は女子高生なので数年後には「できちゃった婚」で嫁ぐかもしれない。
嫁ぎ先が京都の中京区辺りだったりすると「いや、あんた白味噌のお雑煮も作れへんの?大事に育てられたんやなぁ〜(笑)」等のジャッジを受けるかもしれない。

「白味噌の雑煮」はたとえレシピを知っていても実際の味を知らないと作れない、以外に難儀な料理である。
(どこのメーカーの白味噌を使うか?により味が微妙に違うのだ‥甘さ加減とか濃さとか‥)

うちの嫁は白味噌雑煮を食った事が無い以前に白味噌自体が大嫌いなので任せられない。
てな訳で、本年のお正月より元旦に限り、私が「京風白味噌雑煮」を担当することになった。

と、言ってもレシピは極簡単だ。
前日から水に漬けておいた昆布を沸騰する以前に取り出し、予め湯通しした小大根と里芋の輪切り、丸餅を加え、白味噌を溶かすだけだ。(昆布のグルタミン酸に、あとのせ鰹節のイノシン酸を加える絶妙なハーモニー♪具材を全て丸で整えるのは「角を立てない」という京都人の気質?)
がっ、この白味噌をどれくらい溶かすかが勝負でもある。
「うむ。こんな感じだな‥」と久々に食べた白味噌雑煮は結構美味しかった。(懐かしいというか‥)
次女には好評、長女は不評であったが目的はその味を知る事だけである。

ま、それはともかく、この白味噌雑煮って奴、けっこう濃くてドロドロである。
ある意味、某ラーメン屋のスープに傾向性としては似ているかも。

「京都人だけが知っている」の著者が言ってた。
「京都庶民が実は濃くてスタミナの付く味が好きなのは、昔々、いつどんな体制に変化していくか分からない激動の京の都において、あらゆる状況に対応できるスタミナを常に蓄えておかなければならなかったという歴史的背景によるもの」だと語っていた。

通常の味噌に比べ麹の量をえげつなく増やして糖度を増した「白味噌」は砂糖にも似た高級感もあったかもしれないけど、ホントは常にエネルギーを蓄えるという目的の方が大きかったのかも?などと想像してみると何気ない料理も結構深いのかも‥なんて思ったりする次第でもある。
by manun | 2011-01-05 07:40 | たべもの